拝啓、親愛なる笠井竹巳様。
たくちゃん、お元気ですか?
突然ですが、わたしは今日から犬を飼うことになりました。
これから綴っていくのは、ひょんなことから出会ったわたしと犬と、ほんの些細な日常のお話です。
責任の一部はきっとたくちゃんにもあるので、聞き飽きたと思うけど最後まで付き合ってね。



犬、飼い始めました。




00:正しい犬の飼い方。(取り扱い説明書。基本は飴と鞭)


 夏
01:品種を選びましょう。(7月、選抜合宿初日。うっかり懐かれる)
02:餌付けをしてみましょう。(2日目。躾を始める)
03:観察してみましょう。(最終日。忠犬もどきゲット)
04:ストレスに注意しましょう。(8月。電話で催促される)
05:散歩に行きましょう。(暇な日。仕方なく初めての散歩)


 秋
06:褒めてあげましょう。(9月、坊主集団と試合。そろそろ芸を覚えさせたい)
07:立場をわからせましょう。(10月。上下関係をはっきりさせるべき)
08:撫でてみましょう。(11月。黙らせる為に飴をあげてみる)


 冬
09:きっぱり断りましょう。(12月。鞭を与えたら逃げられた)
10:祝ってあげましょう。(1月、元旦。新年のあいさつ)
11:自分からスキンシップを試みましょう。(年初めの練習。歩み寄ってみる)
12:偶にはご褒美をあげましょう。(2月、遠征帰り。餌付けの効果は抜群)


 春
13:適度に放置しましょう。(3月、ナショナルトレセン3日目。隣にいても気にならなくなる)
14:折れてあげましょう。(4日目。面倒だから勘違いは正さない)
15:根気よく続けましょう。(5日目。躾不足を再認識)


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#1(高校1年生)