流れ星を探している間に気づいたら朝になっていた。 明るくなっていく空に星が見えるわけがないのに、それでも朝ごはんの時間になるまでずっと空を眺めていた。 上を見続けていたからか、ずきずきと首が痛む。 朝から何度も首の調子を確かめたり欠伸を繰り返すわたしに、ちゃんは心配そうに眉を寄せる。 ごめんねちゃん。でも、心配してくれてありがとう。「何かあったの?」と訊くちゃんに、わたしは笑って首を横に振る。


「もしかして寝れなかったの?」
「ううん。ちゃんと寝たんだけど、変な時間に寝ちゃったから夜中に目が覚めちゃって」
「あんまり酷いんだったら次の時間保健室で寝て来たら?先生には適当に言っとくし」
「ありがとう、でも大丈夫だよ」


いつもと違う時間に寝たから、少しだけ身体がびっくりしているだけだと思う。 今日は6時間授業で、次の5時間目が体育だ。気遣ってくれるちゃんには悪いけど、体育の授業を休むわけにはいかない。 運動の苦手なわたしは自分に出来ることを頑張るしかないのだ。授業を休むと成績が下がるかもしれないから、なるべく休まないようにしている。


、ほんとうに休まなくて平気なの?」
「大丈夫だよ」
「…そう、無理だと思ったら日陰行って休みなさいね」


体操着に着替えてギラギラ眩しい太陽の下に出て行くと、ちゃんは太陽とわたしを見比べて心配そうに眉を顰めた。 やっぱりちゃんはしっかり者だなあ。 今日は体育祭の練習をするので男女合同での授業、前半は個人種目の練習なので、ちゃんとは別のグループだ。 選抜代表リレーの話し合いに行くちゃんを見送って、わたしは借り物競走のグループへと向かう。 歩いていると自然に目に入るのは、若菜くんの茶色いふわふわの髪。 忘れようって決めたのに、それでもわたしの目は相変わらず若菜くんを探してしまう。 たしか若菜くんも、選抜代表リレーの選手だったな。二人三脚にも出ることになっていたから、若菜くんは大忙しだ。 じっと見ていたからだろうか、不意に若菜くんがこっちを振り返った。わたしはびくりと肩を揺らし、慌てて反対方向に走り出す。


「…あ、れ?」


急に走り出したからか、ぐらりと視界が揺れて立ち止まる。なんだろう、立ちくらみかな? 首を傾げて再び歩き出すと、今度は身体ごとぐらりと傾いた。 慌てて体勢を整えようとするのに足も手も上手く動かなくて、わたしはそのまま重力に従って地面へと向かって行く。 全てがスローモーションに見える中、ふわふわの茶色い髪がわたしに向かって走って来るのが見えた。


!」


この声は、若菜くん?わたしが若菜くんの声を聞き間違える筈がない。 その後もちゃんの声や、色んな人の声が聞こえたけれど、わたしにはもうよく聞こえなかった。 最後に見たのは、大好きな若菜くんの顔。 なんだか焦ったような顔だったけど、どうかしたのかな。そんな顔しないで、大丈夫だよ。 そういえば、若菜くんの声が昔みたいに下の名前で呼んでくれた気がしたけど、わたしの聞き間違えかな。 もう忘れようと思ったのに、やっぱり無理だったんだ。だって、そんな都合の良い聞き間違いをするほどわたしは





ゆうとくんが すき