晩ごはんを食べるのも忘れてベッドに沈んだわたしは、真夜中に目が覚めてしまった。 ベッドから起き上がり窓の外を見上げると、ちかちかと瞬く星が夜空を彩っていた。 わたしはなんてちっぽけな存在なんだろう。昔と同じではないけれど、若菜くんと少しでも話せるようになっただけで十分だった筈なのに。 それなのにわたしは、もっともっと と、知らず知らずのうちに多くを望んでしまっていた。 「だけはあり得ないから」 そうだよね、わかってた。あり得ないのは、当然だ。 だって、若菜くんの彼女になれるのは、とびきりの美人さんや、とびきり可愛い子だけで、そこにわたしが当て嵌まる筈がないことくらいわかっていたのに。 それに今、若菜くんは隣のクラスの大人っぽい女の子と付き合っている。 だからわたしは、若菜くんの言葉にショックを受けることすらおこがましいのだ。 満天の星とは言えない、ぽつりぽつりと散りばめられたような星を見つめて深い深い息を吐き出す。 そういえば昔、若菜くんと一緒に流れ星を探しに行ったなあ。 真っ暗な道も、繋いだ手が温かかったから少しもこわくなんてなかった。 誰にも内緒で出掛けたから、わたしのお母さんも、若菜くんのお母さんも、心配して探しに来たんだよね。 そういえばあの時、流れ星は見つかったんだっけ? あの小さな大冒険は幼心に強く強く焼きついた筈なのに、どうしてわたしは忘れてしまったのだろう。 大切な想い出に蓋をして、若菜くんと距離を置いて、そうやってわたしはいずれ、大切なものを全て忘れていってしまうのだろうか。 若菜くんが好きだというこの気持ちも、忘れてしまうのだろうか。…忘れた方が、楽なのかな。 だってわたしには、若菜くんの隣にいられる理由がない。彼女になれないわたしは昔みたいに隣にはいられないから、それなら――。 見上げた空に星は流れてないけれど、もしも流れたら、
願いを星に投げつけて
どうか、この気持ちを忘れさせてください。 |