2/14 〜五線譜ヒロインの場合〜 「ピアノ屋さんピアノ屋さん!」 「どうしたの、写真屋さん?」 「突然ですが問題です!今日はなんの日でしょーうか!」 「……月曜日?」 「ちっがいますよう!確かに月曜日ですけど…うう」 「俺の誕生日は文化の日だけど、…あ、遅くなったプレゼントなら受け取るよ?」 「なんですかそのさり気ない主張!」 「だってその手、後ろになにか隠してるだろ?」 「……ううう、プレゼントだけどプレゼントとはちょっと違うと言いますか、ううー」 「(面白いなあ…)あ、そうだ。写真屋さんチョコ好き?」 「え?あ、はい、大好きです!」 「じゃあはいこれ」 「?」 「今流行りの逆チョコってやつかな」 「!!!」 ありがとうございますー!あ、食べていいですかもぐもぐもぐ…って、今日がなんの日か知ってたんじゃないですか! わざとですか?わざとですね!ピアノ屋さんはやっぱり意地悪ですもぐもぐもぐ 甘い物に罪はないのです! 〜犬ヒロインの場合〜 「……、………ねえ藤代くん」 「なあに?」 「いい加減、ものすっごく、ものすっごーく邪魔なので離れて」 「えーなんで?」 「邪魔だって言ったよね日本語大丈夫?」 「だいじょぶだいじょぶ」 「意味がわからない離れて」 「チョコくれたら離れても良いよ?」 「(わたしのおやつだったけどしょうがない…)はい、離れて」 「!ありがとー!お返し期待しててね?俺頑張っちゃうよ!」 「お礼もお返しも良いから離れてってばウザイ重い苦しい!」 …なあ、あれってどっからつっこめば良いの。アイツ藤代に対して容赦なくなったよな。 ああそうだねでももっと言うべきことあるよねそこじゃないよね。 板チョコで喜ぶ藤代って健気っつーかなんつーか…。取り敢えず、いい加減藤代の野郎引き剥がそうぜ。 保護者(元飛葉中生)出動10秒前。 〜ないものねだりヒロインの場合〜 「あの、結人くん、あの、ね?」 「お?なになにどしたー?」 「えっと、もう沢山もらってて荷物が増えちゃうし迷惑かもしれないんだけど、」 「んー?(やっと話し掛けてきたと思えば相変わらず控え目っつーか…)」 「えっと………やっぱり、なんでもない、です…」 「え?ちょっ、なになに気になるって!(おいおい諦めんな頑張ってくれよ!)」 「…あのっ!これ、もらってください!」 「(キター!!!)サンキュー超嬉しい一番嬉しい!手作り?本命?」 「え、あの、う、あ、……がんばりました」 答えになってないけどリンゴみてえに真っ赤だしこれ以上は無理かあ。 にしても、諦めないでくれてほんっと良かった!俺今日一日どんだけ待ったと思ってんだ…思ってねえよな迷惑なわけないのに。 よし決めた。「今日一緒に帰ろうぜ!」「!」 なんにしても、無事本命チョコゲーット! 〜うそぶくヒロインの場合〜 「中学のときも思ってましたけど、大量ですね」 「欲しいならやるよ」 「駄目ですよ、それは先輩に贈られた物ですから」 「その俺が良いって言ってんだけど」 「わたしが気になりますから」 「ふうん。…なあ、それよりさっさと本題に入ってよ」 「本題?」 「しらばっくれる気?やだやだこれだから女って」 「チョコレートなら用意してます」 「早く出せよな」 「すみません…先輩いつも迷惑そうだったから、嫌いなのかと思って」 「嫌いだよ」 「…じゃあ持って帰りますね」 「出せって言っただろ人の話聞いてた?」 「…すみません」 「……あのさっ!」 お前は俺の彼女なのシャレで付き合ってるわけじゃないのそこんとこわかってる?! つまり俺はお前が好きなんだから好きなやつがくれるチョコがその他大勢のと一緒なわけねえだろ言わせんなバカ! 嫌いなのは怨念籠ってそうなチョコだけだっつーの。 〜ふたりぼっちヒロインの場合〜 「ねね、まさちゃんまさちゃん」 「ん」 「今日の収穫は?」 「…ほらよ」 「やったあいっぱーい!食べてい?」 「好きにしろ。…ああ、ちびどもの分は残しといて」 「任されよ!」 「で、お前からのは?」 「…欲しいの?」 「あいつは毎年くれたぜ?」 「あー…わたしと違ってあたしはそんな律義じゃないんだよねー今年からなしで良くない?」 「それでも良いけど、周りが騒ぐかもな」 「……なにそれ脅してんの?」 「さあな」 その顔すっごいイラッとくるんだけどてかあの子から毎年チョコもらってたのはあんただけじゃないから あたしだって毎年手作りもらってたっつーの。まさか本命だとでも思ってた?ハッ! ざけんな誰があんたなんかに可愛いあの子をあげるか自惚れんな。 帰宅した双子がポストに入っていたチョコレート(市販)を見つける数時間前の二人。 〜アフターヒロインの場合〜 「バレンタインデーキースッちゃっちゃー」 「…」 「バレンタインデーキースッちゃっちゃー」 「……」 「バレンタインデーキッイスちゃっちゃーリボンをかけえ「黙れ」て?…あ、ハイスイマセン!」 「お前がボクを苛立たせる天才なのは今更過ぎてどうでも良いけどさっきからなにいつも以上にウザイ」 「翼さんはいつも通り斬れ味抜群ですねー」 「…ほんとに斬ってやろうか?」 「遠慮します!(やっべこれマジだ目が笑ってない!!)」 「今日は悪霊化するヤツが多いから気引き締めろよな」 「…なんでそんなことわかるんですかー?」 「お前さっき歌ってただろ」 「はい?…あ、バレンタインデー……え、それってつまり、そういうことですか?」 つまりあれか、某霊感少年と爽やか幽霊に関わった時みたいな目に遭うかもしれないってことかうっわ最悪。 女の嫉妬超怖い。男の嫉妬超怖い。お昼のメロドラマみたいな話を延々と聞かされるのは勘弁願いたい大人しく成仏しとけ! 死後の世界はチョコじゃなく悪霊が飛び交うんだってうっわ食えたもんじゃない…。 〜幼馴染ヒロインの場合〜 「はい英士」 「なに?」 「本」 「見ればわかるよ。どういうつもり?」 「だって今日バレンタインだから」 「……最近は本を渡すのが流行りなの?」 「流行ってないよ。でも英士はチョコよりこっちの方が良いのかと思って」 「(あの時のこと根に持ってる?それとも本気?)…ありがとう」 「どういたしまして」 「……」 「……ねえ、チョコ欲しい?」 「…あるの?」 「あるよ。一馬と結人にはもう渡した」 「一馬にもあげたんだ」 「うん。だって好きだし」 「……」 「……妬いた?」 「妬いた。…って、言ったらどうする?」 「……負けました」 最初から大人しく渡せば良いのに、いつまでも懲りないね。…なに、俺に勝ちたかったの?今更でしょ。 ……違うよ、敵わないのは俺の方。昔から些細な一言に負けっ放し。 そういうことを飄々と言ってのけるのは止めて欲しい。(あたしだって負けっ放しだ!) Happy Valentine! |