「一馬今すぐ来て!」
「なんだ英士どしたー?」
「結人じゃダメ一馬来て」
「ヒデーよコイツ!一馬ぁ呼ばれてるぞー」
「どした?」
「ヤツが出た。名前を言ってはいけないアイツが出た」
「んだそれヴォルデモートか?」
「なに言ってるの結人そんなの実在するわけないでしょ」
「一馬コイツ殴っていい?」
「あーわかった、退治するからお前ら出てろ」
「シカトすんなお前も殴るぞ」
「一馬の邪魔しないで。ほら行くよ」

「終わったぞ」

「流石一馬。ご苦労さま、早く手洗って来てね」
「おー」
「結局なんだったわけ?」
「隠密行動が得意な虫」
「虫ぃ?…あーあれか、ゴ「言うなって言ってるだろ」〜ッてぇ!」



「こんなに好きなのに、なんでカナワナイのかな」

あたしがどう頑張ったって あの子には敵わない。
あたしがどう足掻いたって この想いは叶わない。

――あとどれくらい泣いたら、愛しさは涸れてくれるのですか?



「あ、じゃん。何してんの?」
「受験勉強」
「え、何で?受験勉強って3年になったらやれば良いんじゃないの?」
「大学受験はそんなに甘くないのよ。…ま、藤代には関係ないだろうけど」
「あはは、確かに俺関係ねーや」
「…アンタはただサッカーやってるだけで良いんだから、ほんと気楽よね」

「ちょっ、何すんのよ返して!」
「だーめ」
「はあ?意味分かんないんだけど。早く返してよ」
「ダメだよ、だって俺ムカついてんだもん」
「あたしだってアンタの所為でムカついてるわよ」
「―なぁ、俺が気楽だなんて誰が決めたの?」
「ッ、!」
が勉強頑張ってるみたいに、俺だってサッカー頑張ってるんだよ。好きだけで続けられるほど甘い世界じゃないんだ」
「……ごめ、ん」
「俺こそ意地悪してごめんなー。いつもなら流すんだけど、だったからちょっとムカついちゃって」
「…あたしのこと嫌いなら遠回しじゃなくてハッキリ言って良いわよ」
「違う違う、その逆」
「逆?」
「うん。のこと好きだから、にだけは言われたくなかった」
「……」
「じゃ勉強頑張れよー」
「………意味分かんない」



「嘘でもいい…ううん。嘘でいいから、好きだって言って」



「でも俺、ずっと三上先輩が羨ましかった」
「先輩って隠れて努力するタイプなのに努力してることみんなにバレてんじゃん?そーいうのが、いいなあって」
「俺だって努力ってか結構練習してんのに…!みたいな」
「俺とあの人の何が違うんだろーな。なんで俺だとそれくらい出来て当たり前って顔されるんだろ」
「天才なんてさ、いるわけねぇじゃん?」

でも誠二、それでも俺はお前が羨ましいよ。
…なんて言ったら怒るかな。
だけど、そうやって何でもない風に笑うよりは怒ってくれた方がマシだ。

「なんちって!タク、早く練習しようぜ」

舞台裏のヒーローはそれでも笑うことしか知らない。



この世界はわたしが生きるにはあまりに――すぎるから、早く終われといつも願うのです。



「人魚姫になりたい」
「…突然なに」
「あたしも人魚姫みたいに泡になって消えたいよ」

だってこのままじゃ、この愛が貴方を殺してしまいそうだから。

「ばか言ってないで早く寝な」



「こないだ姉ちゃんに『婿に来い』って言われたんだけどなんかあった?」
「…は?」
「あぁ、結人も?俺は『早く結婚できる年齢になってね』って言われたよ」
「……あの馬鹿姉、」
「僕なんて『白無垢とウエディングドレスどっちがいい?』って聞かれたから『両方』って答えちゃった」
「そこは流せよ。アイツ調子乗るだろ」
「あら、そんなにお姉ちゃんが他の男に取られるのが嫌なの?」
「バッ、ちっげぇよ!つか勝手に入ってくんなっていつも言ってるだろ!」
「アンタが3人を独り占めしてるのが悪いんでしょー」

「相変わらず仲良いよな」
「あはは、痴話喧嘩ってヤツだね」
「潤慶それ微妙」